第72編は、地上の王が主なる神の代行者として「貧しい人々」を「救い」、「虐げる者を砕」いて正義と「平和をもたらし」、「代々に永らえ」るようにと主なる神に祈る詩である。
「【ソロモンの詩。】神よ、あなたによる裁きを、王に/あなたによる恵みの御業を、王の子に/お授けください。王が正しくあなたの民の訴えを取り上げ/あなたの貧しい人々を裁きますように。山々が民に平和をもたらし/丘が恵みをもたらしますように。王が民を、この貧しい人々を治め/乏しい人の子らを救い/虐げる者を砕きますように。王が太陽と共に永らえ/月のある限り、代々に永らえますように。王が牧場に降る雨となり/地を潤す豊かな雨となりますように。生涯、神に従う者として栄え/月の失われるときまでも/豊かな平和に恵まれますように」(1~7節)。
いつの時代でも、為政者が正義を行い、「貧しい人々」が救われるのは、誰もが願うことであるに違いない。特にこの詩では、為政者自身がそのような者であることを祈り求めている点に素晴らしさがある。
しかし、現実の社会では、為政者の横暴や専断的支配によって、貧しい者や弱い者が虐げられることが何と多いことだろう。民主主義社会、福祉社会と言われる現代でも、そういった問題は山積している。
そう考えると、この詩は、現実の王を超えて理想的な真の王を求める詩、即ちメシア詩編であると言える。
真に正しい「裁き」を行い、全ての「貧し」く弱い人々を救い、この地上に豊かな「平和をもたら」すことの出来る王は、私達の主イエス・キリストの他にはいない。このイエス・キリストを、自分自身の真の王として迎えること、そこに罪による永遠の滅びからの救い、主なる神との和解、そして豊かな平安と平和がある。
「栄光に輝く御名をとこしえにたたえよ/栄光は全地を満たす。アーメン、アーメン」(19節)。
西原新生バプテスト教会
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