聖書日課 詩編143編(新共同訳 旧約pp.983-984)
第143編は、悔い改めの詩編の1つで、パウロ的な詩編であると言われている。それは、次のように記されているからだろう。
「【賛歌。ダビデの詩。】主よ、わたしの祈りをお聞きください。嘆き祈る声に耳を傾けてください。あなたのまこと、恵みの御業によって/わたしに答えてください。あなたの僕を裁きにかけないでください。御前に正しいと認められる者は/命あるものの中にはいません」(1~2節)。
「主よ、御名のゆえに、わたしに命を得させ/恵みの御業によって/わたしの魂を災いから引き出してください」(11節)。
「命あるもの」のうちに主なる神の「御前に正しいと認められる者」は一人もいない。しかし、義なる神の「恵みの御業によって/わたしに答えて」、命を得させて下さい、と詩人は祈っている。
聖書の教える信仰は、これだけ祈った、これだけ献げたから主なる神がこうしてくれる筈だという、人間の行いに根拠を置くものとは違う。勿論、祈ることも献げることも大切である。しかし、人間の行いに応じて主なる神が救って下さるのではない。主なる神は私達が祈る前から、私達の必要をご存知であり、私達が求める前から答えて下さる御方である(マタイによる福音書6章32節、イザヤ書65章24節)。
だから、私達がなすべきことは、そのような主なる神を信頼し、喜び、讃え、「へりくだって神と共に歩むこと」であると聖書は教えている(ミカ書6章8節)。
詩人はそのことを知っていた。それ故、心が萎え果てるような苦しみの中でも、自分の義や行いに依り頼むことなく、ただ主なる神の「恵みの御業」にのみ依り頼んで、主に叫び祈った。
「主よ、早く答えてください/わたしの霊は絶え入りそうです。御顔をわたしに隠さないでください。わたしはさながら墓穴に下る者です。朝にはどうか、聞かせてください/あなたの慈しみについて。あなたにわたしは依り頼みます。行くべき道を教えてください/あなたに、わたしの魂は憧れているのです」(7~8節)。
西原新生バプテスト教会
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