聖書日課 ホセア書12章(新共同訳 旧約pp.1417-1418)
「エフライムは偽りをもって/イスラエルの家は欺きをもって/わたしを取り巻いた。ユダはいまだに神から離れてさまよい/偶像を聖なるものとして信頼している。エフライムは風の牧者となり/一日中、熱風を追って歩く。欺瞞と暴虐を重ね/アッシリアと契約を結び/油をエジプトへ貢ぐ」(1~2節)。
これは間近に滅亡が迫っているイスラエルについて言われた言葉である。それまでイスラエルは経済的にも政治的にもソロモン王以来の大きな繁栄を得ていた。しかし、その繁栄は欺きと搾取によって築き上げられたものであった。彼らの心は主なる「神から離れ」、「偶像」に向けられていた。また、彼らは「アッシリア」や「エジプト」といった目に見える力に拠り頼んだ。そのような偽りの繁栄の象徴として、商人達についてこう言われている。
「商人は欺きの秤を手にし、搾取を愛する。エフライムは言う。『わたしは豊かになり、富を得た。この財産がすべて罪と悪とで積み上げられたとは/だれも気づくまい』」(8~9節)。
これは、主なる神を捨て、主なる神を畏れ敬うことを忘れ去った人間の姿である。主なる神に拠り頼もうとしない者は、富に拠り頼み、富を得ることを最優先に考える。そのためなら、人を欺いたり、搾取することさえ厭わない。そして、彼らはこう言う。「この財産がすべて罪と悪とで積み上げられたとは/だれも気づくまい」。……しかし、そのような彼らに主なる神はこう告げられた。
「わたしこそあなたの神、主。エジプトの地からあなたを導き上った。わたしは再びあなたを天幕に住まわせる/わたしがあなたと共にあった日々のように」(10節)。
主なる神は、イスラエルが「エジプトの地」を出た日から、ずっと彼らの「主」であり、彼らを導いて来られた。しかし今、主なる神は、豊かになったイスラエルをその貪欲と高慢の罪の故に再び貧しい荒野の「天幕」に移すと言われるのである。
これは警告であり、厳しい懲戒の言葉である。しかし、同時に主なる神は、そのような彼らに向かってこう叫ばれた。
「神のもとに立ち帰れ。愛と正義を保ち/常にあなたの神を待ち望め」(7節)。
主なる神は、最後の最後まで、決してイスラエルを見捨てなかった。何故なら、主なる神は、イスラエルをわが子として愛しておられたからである(11章1節)。そして、その愛は今、主イエス・キリストを信じる私達にも向けられていることを忘れてならない。
西原新生バプテスト教会
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