表題に「ダビデがガトでペリシテ人に捕えられたとき」と記されているように、第56編は、敵の手に「捕らえら」れ八方塞がりの状況の中で、主の憐れみと助けを叫び求める祈りの詩である。
「【指揮者によって。『はるかな沈黙の鳩』に合わせて。ダビデの詩。ミクタム。ダビデがガトでペリシテ人に捕えられたとき。】神よ、わたしを憐れんでください。わたしは人に踏みにじられています。戦いを挑む者が絶えることなくわたしを虐げ／陥れようとする者が／絶えることなくわたしを踏みにじります。高くいます方よ／多くの者がわたしに戦いを挑みます」(1～3節)。
絶望的な状況の中で、それでもなお叫び求める存在が残されているのは、大きな慰めであり希望である。苦難の時、あなたは誰に叫び求めるだろうか。
ダビデは主なる神に向かって祈り、こう告白している。
「恐れをいだくとき／わたしはあなたに依り頼みます。神の御言葉を賛美します。神に依り頼めば恐れはありません。肉にすぎない者が／わたしに何をなしえましょう」(4～5節)。
私達は「肉に過ぎない者」を「恐れ」る。しかし、どんなに強く見えようとも、人は主なる神によって造られたものに過ぎない。その「神に依り頼」むことにまさる力と励ましはない。御言葉と祈りを通して主なる「神に依り頼」む時、目の前の現実を超えたところからの力と励ましが与えられる。そして、確かに「恐れ」が消え去る。そのような体験を、あなたはしたことがあるだろうか?
ダビデはそのような体験の中で、こう祈っている。
「あなたはわたしの嘆きを数えられたはずです。あなたの記録に／それが載っているではありませんか。あなたの革袋にわたしの涙を蓄えてください」(9節)。
主に「依り頼」む者の「嘆き」と「涙」は、決して空しいままで過ぎ去ることはない。主なる神は「依り頼」む者の「嘆き」と「涙」を覚えていて下さる。それ故、私達もダビデと共にこう宣言しよう。
「神を呼べば、敵は必ず退き／神はわたしの味方だとわたしは悟るでしょう。神の御言葉を賛美します。主の御言葉を賛美します。神に依り頼めば恐れはありません。人間がわたしに何をなしえましょう」(10～12節)。
祈り
天のお父様、尊い御名を心からほめたたえます。今日もあなたの憐れみと慈しみに包まれ、御前に祈りを献げることが出来、心から感謝致します。
主よ、あなたは、私達の心の扉を開いて下さる方です。苦しみの中にあって堅く閉じた私達の心を温かく包み、私達の心の底にある思いの扉を開き、ありのままの思いを聞いて下さいます。
主よ、あなたの御前に流す「涙」の一つ一つ、一粒も無駄に消えていないことを感謝します。全てあなたの「皮袋」に「蓄えて」下さっています。そして、その一つ一つにあなたは解決を与えて下さいます。
主よ、どうか、悲しみの涙、苦しみの涙を流しながら生活しているお一人お一人を覚えて下さい。今日一日を支えて下さい。お一人お一人の心を包んで下さい。あなたの御前に安心して「涙」を流すことが出来ますように。
感謝して、尊いイエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。
西原新生バプテスト教会
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