第87編は「神の都」「シオン」への賛歌である。とても短い詩だが、その内容は何と大きなスケールだろう!
「【コラの子の詩。賛歌。歌。】聖なる山に基を置き/主がヤコブのすべての住まいにまさって愛される/シオンの城門よ。神の都よ/あなたの栄光について人々は語る。[セラ」(1~3節)。
「主は諸国の民を数え、書き記される/この都で生まれた者、と。[セラ 歌う者も踊る者も共に言う/『わたしの源はすべてあなたの中にある』と」(6~7節)。
スケールの大きさの1つは、この詩が全世界を包み込んでいることである。主が「諸国の民を数え」、「この都で生まれた者」と「書き記される」と言われているように、神の都シオンが全世界の首都となることが歌われている。何故なら、「主がヤコブのすべての住まいにまさって愛される」からである。
しかし、この詩のスケールの大きさは、ただそれだけではない。第87編には、地理的な大きさに加え、〈懐の広さ〉と言うことが出来る、大きな主なる神の愛が表されている。それは、主なる神御自身の言葉としてこう記されていることから分かる。
「『わたしはラハブとバビロンの名を/わたしを知る者の名と共に挙げよう。見よ、ペリシテ、ティルス、クシュをも/この都で生まれた、と書こう。シオンについて、人々は言うであろう/この人もかの人もこの都で生まれた、と。』いと高き神御自身がこれを固く定められる」(4~5節)。
「ラハブ」とはエジプトのことである。「バビロン」とは、勿論、イスラエルを滅ぼし神殿を破壊したあのバビロンである。更に、「ペリシテ」も「ティルス」も「クシュ」も、皆異邦人の国で、イスラエルの敵であった。ところが、そのような国々が、そのような人々が、全て「この都で生まれた」者と言われる時がやがてやって来るというのである。
敵をも包み込む愛、赦す愛。そして、生かす愛。それが主なる神の愛である。そして、そのために、愛である神は独り子イエス・キリストを十字架にかけて下さった。その愛に包まれ生かされて、私達も宣言しよう。「わたしの源はすべてあなたの中にある」と。
西原新生バプテスト教会
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