ヨプは、1日にして全財産と10人の息子、娘を失った。それでも「神を非難すること」はなかったヨブに対し(1章22節)、主なる神は再び信頼と賞賛の言葉を述べた。
「主はサタンに言われた。『お前はわたしの僕ヨブに気づいたか。地上に彼ほどの者はいまい。無垢な正しい人で、神を畏れ、悪を避けて生きている。お前は理由もなく、わたしを唆して彼を破滅させようとしたが、彼はどこまでも無垢だ』」(3節)。
しかし、サタンはそれでもヨブの信仰を疑い、もっと厳しい苦難を与えれば、ヨブもきっと主なる神を「呪う」に違いないと主張した。
「サタンは答えた。『皮には皮を、と申します。まして命のためには全財産を差し出すものです。手を伸ばして彼の骨と肉に触れてごらんなさい。面と向かってあなたを呪うにちがいありません』」(4～5節)。
そして、ヨブの身体中に「ひどい皮膚病」をもたらし(7節)、彼を更に苦しめた。
全く同じ人物に対する、全く異なる評価。主なる神とサタンの本質の違いがはっきりと表れている。主なる神はヨブを愛と信頼をもって見つめ、サタンはヨブを軽蔑と疑いの目で見ている。
勿論、主なる神は単なる〈お人好し〉ではない。これからヨブの心の中に揺らぎや不信の嵐が起こることを知っておられる。しかし、主なる神はどこまでもヨブを信頼しておられた。ヨブの弱さも、ヨブの頑固さも、全て含めて、主なる神は彼を愛し、彼を受け入れ、「わたしの僕」と呼ばれた。ここに〈主なる神の恵み〉がある。
ヨブは、決して自分の力によって主の僕とされたのではない。彼が立派であったからとか、優れていたからではなく、ただ主なる神の恵みによって主の僕とされた。実は、サタンが挑戦したのは、ヨブの信仰に対してではなく、この主なる神の恵みに対してである。
或る意味で、ヨブは、主なる神の恵みによって、選ばれ、赦され、救われたキリスト者の姿を表していると言える。事の大小の違いはあれ、キリスト者の人生にも「何故?」「どうして?」と言わざるを得ない苦難に見舞われることがあるからである。そのような時、ヨブ記は間違いなく大きな慰めと励ましの書となる。
主なる神はどこまでも私達を愛し、赦し、信頼して下さっているということを忘れてはならない。だからこそ、私達もまた主なる神をどこまでも信頼し続けよう。
西原新生バプテスト教会
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