聖書日課 サムエル記上14章(新共同訳 旧約pp.447-450)
イスラエルの民は恐れていた。彼らは皆、「海辺の砂のように多かった」ペリシテ軍を前にして圧倒されていた(13章5節)。おまけに、頼りの綱のサウル王は、罪を犯してサムエルから叱責をかう始末だった(同13~14節)。イスラエル軍の士気は下がるばかりだった。
しかし、そのような暗い雰囲気を一変させる人物が現れた。サウル王の息子ヨナタンである。ヨナタンは、以前にも「ペリシテの守備隊を打ち破」る武勲を挙げていたが(13章3節)、今度は、形勢を一気に逆転させるほどの大殊勲を挙げた。それも、彼と彼の「従卒」のたった2人きりで。
ヨナタンは、主への信仰に生きる若者だった。それは彼の言葉を聞けば一目瞭然である。
「ヨナタンは自分の武器を持つ従卒に言った。『さあ、あの無割礼の者どもの先陣の方へ渡って行こう。主が我々二人のために計らってくださるにちがいない。主が勝利を得られるために、兵の数の多少は問題ではない。』従卒は答えた。『あなたの思いどおりになさってください。行きましょう。わたしはあなたと一心同体です』」(6~7節)。
「主が勝利を得られるために、兵の数の多少は問題ではない」。この信仰だけで、彼は従卒と2人きりで「ペリシテ軍の先陣」に向かって行った(11節)。常識的に考えれば、それは無謀としか言いようがない。もし知っていれば、誰もが彼らを引き止めたことだろう。だから、彼らは誰にも内緒で陣営を抜け出して敵に向かって行った。
しかし、主なる神は、この2人の信仰を喜んで受けとめられた。ヨナタンたちが敵の先陣に上って行って「およそ二十人」を「討ち取」ると(14節)、ペリシテ全軍に恐怖が広がった(15節)。そればかりではない。主なる神が地を揺り動かしたので、彼らの「恐怖はその極に達し」(15節)、互いに「同士討ち」を始めた(20節)。
その様子を見たイスラエルの人々は、「それまでペリシテ側につ」いていた者も、恐れて「身を隠れていた」者も皆、「戦いに加わり」、ペリシテ軍と戦い始めた(21~22節)。「こうして主はこの日、イスラエルを救われた」(23節)。
たった2人の小さな信仰が、大きな勝利をもたらした。それは、主なる神への信頼がもたらした勝利だった。しかし、私が何よりも驚くのは、多くの人々が恐れて意気消沈していたにもかかわらず、この2人だけは、主なる神への信仰に燃えていたことである。そして、2人の信仰が多くの人々の勇気を奮い起こし、イスラエルに大勝利をもたらした。恐るべし信仰の影響力! 恐るべし信仰の波及力!
西原新生バプテスト教会
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