聖書日課 ミカ書5章(新共同訳 旧約pp.1454-1455)
5章はメシア来臨の預言である。1~3節ではメシアの具体的な姿と行動が描かれているが、特に1節は、キリスト誕生の地の預言として有名である(マタイによる福音書2章5~6節、ルカによる福音書2章1~6節)。
ベツレヘムは、ダビデが生まれた町である。そのダビデの子孫の中からやがて全世界を治める救い主が生まれると、主なる神はダビデに約束された。そしてミカは、メシアがダビデの生まれ故郷ベツレヘムで生まれることを預言した。
しかし、イエス・キリストが生まれた時、ベツレヘムは、いやベツレヘムばかりでなくイスラエル全体はローマの属国とされており、恐ろしいヘロデ大王によって支配されていた。それは、まさに2節で「まことに、主は彼らを捨ておかれる/産婦が子を産むときまで」と言われている通りであった。誰もが諦めきっていた時代、誰も目を留めなかった小さな町ベツレヘムに、主なる神は約束通り世界を治める救い主を誕生させて下さった。
ところが、実際にその誕生を喜び迎えたのは、ごく少数の人々でしかなかった。ユダヤの王ヘロデは、ユダヤ人の王と呼ばれたメシアの誕生を恐れ、救い主を殺そうと謀った。また、祭司長や律法学者は、救い主が生まれる場所も時も聖書によって知っていたにもかかわらず、救い主に会いに行こうとしなかった。そして、エルサレムに住む人々も、救い主誕生の知らせを聞いて不安になったと記されている(マタイによる福音書2章3節)。
このように、救い主は、ユダヤのベツレヘムという小さな町で、ひっそりと静かに生まれた。そして、その誕生を喜び迎えたのは、ごく少数の人々でしかなかった。しかし、聖書はこう記している。
「そのとき、彼の兄弟の残りの者は/イスラエルの子らのもとに帰って来る。彼は立って、群れを養う/主の力、神である主の御名の威厳をもって。彼らは安らかに住まう。今や、彼は大いなる者となり/その力が地の果てに及ぶからだ」(2~3節)
たとえ人の目には小さく見えても、主なる神の約束は必ず成就する。そして、確かに、「今や、彼は大いなる者となり、その力が地の果てに及ぶ」と言われたことがイエス・キリストによって実現した。このイエス・キリストを、共に喜び迎える者でありたい。