越川 弘英『礼拝』信仰生活の手引き, 東京: 日本キリスト教団出版局, 2013年, pp.63-64
「コリント教会への書簡も食事の場における礼拝の様子を描いています。第一コリント書には『あなたがたは集まったとき、それぞれ詩編の歌をうたい、教え、啓示を語り、異言を語り、それを解釈するのですが、すべてはあなたがたを造り上げるためにすべきです』(14・26)という記述が残されています。この書簡からはこうしたいろいろな行為が信徒の自発的な実践として行われていた雰囲気が伝わってきます。他方、そうしたエネルギッシュな集いが、時として教会の中に問題を引き起こすこともありました。パウロは聖餐や異言をめぐるそうした問題に対して厳しい警告や助言を発しています。けれども私たちが注意したいことは、パウロは礼拝におけるひとりひとりの活力や自発性そのものを否定したわけではなく、『すべてを適切に、秩序正しく行いなさい』(14・40)と勧めつつ、その礼拝が『あなたがた(教会共同体)を造り上げる』ものとなることを最終的な願いとして語っているということです」