聖書日課 ダニエル書11章(新共同訳 旧約pp.1398-1401)
11章は、2章や7~9章と同様に、ダニエルからイエス・キリストに至る間の4つの帝国と様々な事件についての預言である。特にギリシアについての詳細な預言が展開されている。
ギリシアは、紀元前331年にアレクサンドロス大王によって世界帝国となった(3節)。しかし、彼の死後、帝国はその将軍達の間で、ギリシア、小アジア、シリア、エジプトの4つに分割された(4節)。その中で、「北の王」(6節)はシリアを、「南の王」(5節)はエジプトを指していると思われるが、21節以降には、シリアのアンティオコス4世エピフェネスによるエルサレム征服、そして彼の暴政によって、神殿が汚され(31節)、多くの人々が殺されることが預言されている。
そのような中、「自分の神を知る民は確固として行動」(32節)し、多くの者を導く。しかし、迫害はますます激しくなり、彼らは剣にかかり、火刑に処されて倒される(33節)。それは、これらの苦難を通して彼らが「練り清められ、純白にされるため」であり、またそれは「終わりの時に備えて」のことであると記されている(35節)。
本章では「時」が強調されている。それは主なる神がお定めになった「時」である。ここでは、次から次に悪が蔓延り、思いのままに振る舞い、歴史を動かしているかのように見える。しかし、全ては主なる神の定めの中でしか起こり得ない出来事であり、真に歴史を支配しているのは主なる神である。
そして、エルサレムとその聖なる神殿を汚した北の王にも、やがて終わりの時がやって来る。
「海とあの『麗しの地』の聖なる山との間に天幕を張って、王の宿営とする。しかし、ついに彼の終わりの時が来るが、助ける者はない」(45節)
主なる神は歴史を支配しておられる。その主なる神に信頼し、主なる神が定められた時を待ち望みながら、勇気と忍耐と希望をもって悪と戦い、勝利を得たいものである。